「恵」
「……」
「恵ってば」
「……」
「ねーえー、まだ怒ってるの?」
「……怒ってない」
「こーれは怒ってるやつゥ!」
「伏黒のやつ、どうしたのよ」
「ミョウジが任務で怪我したの隠して体術の訓練に出たから怒ってんだって」
「は、しょーもな」
「そう言ってやるなよ」
「だーかーらー、ちょっと捻挫しただけだって」
「こんなパンパンに腫れてんのにか」
「左手だから大丈夫なの」
「…………」
「いだだだだ握んないで!!」
「やっぱ痛いんじゃねえか」
「当たり前じゃん腫れてんだよ!?」
「…………」
「…きょ、今日、家入さんいないし」
「……で?」
「五条先生が相手してくれるっていうから、貴重だから…」
「…手加減しねえだろあの人」
「そこがいいんだよ」
「お前が」
「うん?」
「……お前が五条先生に痛めつけられてんの見ると、なんかムカつくんだよ」
「えっ、それって……」
「……なんだよ」
「つまり恵も私を痛めつけたいってこと?」
「お前やっぱ右手も捻挫してこい」
「…………しょーーーもなッ」
「ごめん伏黒、俺もうなんも言えない」